ご挨拶
微小脳神経外科解剖セミナーは第28回開催より、名称を日本微小脳神経外科解剖研究会(Rhoton Memorial Seminar)と改め、最新の微小脳神経外科解剖研究の詳細、教育講演、さらに一般演題も加えて開催することになりました。ホームページでは、全国で開催される微小脳神経外科解剖関連の研究会や実習コースの紹介、解剖献体に関する取り決めなどの情報、その他会員の役に立つ情報提供を行います。
微小脳神経外科解剖は脳神経外科医にとって必須の知識であり、安全・確実な手術を行っていく上で不可欠であります。これから手術を始める若い脳神経外科医、解剖の再確認をしたいベテラン脳神経外科医、微小脳神経外科解剖の研究者など多くの方々に最新の情報を提供出来ますよう努力してまいります。皆様方のお力添えにより更なる発展を目指しますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
2022年7月吉日 日本微小脳神経外科解剖研究会
世話人代表 安部 洋
微小解剖セミナーの歴史と役割
1970年代からフロリダ大学ロートン先生が中心となり微小外科解剖の研究が始まりましたが、その知識は脳神経外科手術の正確性や安全性を高めるために大変有用なものです。本セミナーは、開催以来四半世紀にわたりそれらの知識とその臨床への関わりを日本国内へ普及し、日本の脳神経外科の発達に大きく貢献してきました。今後も若い先生方や手術を始められた方々に役立つと思いますが、このセミナーの経緯について知る方も少なくなりましたので、その生い立ちから歴史をお話し、ご挨拶にかえさせていただきます。
現在は、微小解剖セミナー講演集(全20巻)に加えて教科書「Rhoton」も出版され、日本人脳神経外科医にとり、微小外科解剖の知識は比較的容易に手に入るものとなりました。しかし20〜30年前はそれらに関する教科書や本はほとんど出ておらず、外科解剖の知識を渇望していた多くの脳神経外科医にとってそれを修得するのは大変困難でした。そのような1986年3月に、第一回目のセミナー、微小外科解剖セミナー福岡が開催されました。九州大学脳神経外科名誉教授の故北村勝俊先生の退官記念会へロートン先生が出席された折、北村先生を会長としてロートン先生とその弟子数名が講師となり、日本で初めての解剖セミナーが開催されたわけです。この時は九州大学医学部構内の同窓会館で開かれ、参加者数も200名位でしたが、熱心な参加者の熱気が感じられる会となりました。この時、講師として参加された小林茂昭先生(信州大学名誉教授)がこのような会は全国区のセミナーとして開催されるべきとお考えになり、1988年3月名古屋で脳神経外科コングレスの会長を務められた際、本セミナーを日本コングレスと同時開催されました。先生は1986年に九大で開催されたセミナーを尊重され、名古屋で開催された会を第2回目とされました。これ以降、教育に主眼を置いた本セミナーは年1回コングレスと同時開催を続けることとなります。また、この第2回セミナーから講演集が出版され始めましたので、第1回目セミナーの講演集がないわけです。講演集は大変好評で、最初の5巻ぐらいまでは各約3000冊以上販売された程の人気でした。しかしその後、多くの本の出版と共にその役割を果たし、残念ながら第21回セミナー(第20巻)で中止となりました。
また本セミナーも、2008年の第22回セミナー(名取良弘会長)から、生涯教育(応用編)と若手教育(基本編)に分かれて開催されるようになりました。生涯教育は同年の第28回日本脳神経外科コングレス総会会長の宮本享先生(現京都大学教授)のお勧めによりコングレス総会プログラムの中で合同プレナリーセッションとして開催され、若手教育は「若手のための微小脳神経外科解剖セミナー」として別途開催され、それ以降そのような形で年2回開催されています。
微小外科解剖の知識は研究対象としてはその大部分が既に明らかにされましたが、脳神経外科を学びまた手術を始められる方々にとっては必ず勉強し修得しなければならない永遠に必須のものです。また、脳神経外科の手術のためだけでなく、大変詳細に見えるようになった画像所見を正確、詳細に読影するための画像解剖も重要で有用なものです。脳神経の仕事に携わっていかれる方々が、このセミナーを大いに活用され、更に患者さんのためにご活躍される事を切に望みます。
福岡山王病院 脳・神経機能センター長
松島 俊夫
歴代会長
回 | 開催日 | 開催地 | 会長 | 所属 | |
1 | 1986年03月17日 | 福岡 | 北村勝俊 | 九州大学 | |
2 | 1988年03月27日 | 名古屋 | 小林茂昭 | 信州大学 | |
3 | 1989年03月26日 | 福岡 | 藤井清孝 | 九州大学 | |
4 | 1990年04月01日 | 東京 | 山本勇夫 | 東海大学 | |
5 | 1991年03月31日 | 千葉 | 山浦 晶 | 千葉大学 | |
6 | 1992年04月26日 | 新潟 | 宜保浩彦 | 信州大学 | |
7 | 1993年05月22日 | 福島 | 松島俊夫 | 九州大学 | |
8 | 1994年05月30日 | 仙台 | 中川 洋 | 愛知医科大学 | |
9 | 1995年03月19-20日 | 大宮 | 吉本智信 | 東京警察病院 | |
10 | 1996年04月14日 | 松江 | 石井鐐二 | 川崎医科大学 | |
11 | 1997年03月17日 | 京都 | 河瀬 斌 | 慶應義塾大学 | |
12 | 1998年03月16日 | 名古屋 | 松野治雄 | 麻生飯塚病院 | |
13 | 1999年5月30-31日 | 岩手 | 佐伯直勝 | 千葉大学 | |
14 | 2000年05月22日 | 横浜 | 大畑建治 | 大阪市立大学 | |
15 | 2001年05月17日 | 山形 | 岡 一成 | 福岡大学 | |
16 | 2002年03月18日 | 大阪 | 新井 一 | 順天堂大学 | |
17 | 2003年05月18-19日 | 大阪 | 水野順一 | 愛知医科大学 | |
18 | 2004年05月16日 | 徳島 | 詠田眞治 | 麻生飯塚病院 | |
19 | 2005年05月15-16日 | 小倉 | 本郷一博 | 信州大学 | |
20 | 2006年05月14-15日 | 東京 | 井上 亨 | 九州医療センター | |
21 | 2007年05月20日 | 仙台 | 坂田勝巳 | 横浜市立大学 | (コングレス会長) |
22 | 2008年04月13日 | 福岡 | 名取良弘 | 麻生飯塚病院 | 28回 宮本 享(京都大学) |
23 | 2009年04月18日 | 東京 | 塩川芳昭 | 杏林大学 | 29回 伊達 勲(岡山大学) |
24 | 2010年04月24日 | 東京 | 上山博康 | 旭川赤十字病院 | 30回 木内博之(山梨大学) |
25 | 2011年05月29日 | 福岡 | 勝田俊郎 | 北九州市立医療センター | 31回 小笠原邦昭(岩手医科) |
26 | 2012年04月14日 | 東京 | 西澤 茂 | 産業医科大学 | 32回 斉藤延人(東京大学) |
27 | 2013年04月06日 | 愛知 | 高安正和 | 愛知医科大学 | 33回 廣瀬雄一(藤田保健) |
28 | 2014年04月05日 | 福岡 | 一ツ松勤 | 新古賀病院 | 34回 飯原弘二(九州大学) |
29 | 2015年04月11日 | 愛知 | 齋藤 清 | 福島県立医科大学 | 35回 三國信啓(札幌医科) |
30 | 2016年04月23日 | 東京 | 岡 秀宏 | 北里大学 | 36回 吉村紳一(兵庫医科) |
31 | 2017年04月22日 | 東京 | 田中雄一郎 | 聖マリアンナ医科大学 | 37回 成田善孝(国立がんセンター中央病院) |
32 | 2018年04月21日 | 高松 | 田宮 隆 | 香川大学 | 38回高橋 淳(国循)大阪 |
33 | 2019年03月16日 | 東京 | 谷口 真 | 東京都立神経病院 | 39回園田順彦(山形大学) |
34 | 2020年11月14日 | 新潟 | 藤井幸彦 | 新潟大学脳研究所 | 40回中田光俊(金沢大学) |
35 | 2021年04月17日 | 愛知 | 長谷川光広 | 藤田医科大学 | 41回吉本幸司(鹿児島大学) |
36 | 2022年07月02日 | 東京 | 河島雅到 | 国際医療福祉大学 | 42回武笠晃丈(熊本大学) |
37 | 2023年04月01日 | 和歌山 | 中尾直之 | 和歌山県立医科大学 | 43回片岡大治(国立循環器病センター) |
38 | 2024年04月06日 | 札幌 | 谷川緑野 | 札幌禎心会病院 | 44回齋藤竜太(名古屋大学) |
*第22回より日本脳神経外科コングレスとの合同セッションを開始 |
顧問・世話人一覧
日本微小脳神経外科解剖研究会 世話人・顧問一覧 2023年10月 | ||
特別顧問 | (故)Albert L Rhoton, Jr. | |
名誉顧問 | (故)北村勝俊、(故)杉田虔一郎、(故)白馬 明、(故)福井仁士、(故)谷口 真 | |
新井 一、石井鐐二、岡 一成、河瀬 斌、宜保浩彦、佐伯直勝、佐藤 潔、 | ||
詠田眞治、西澤 茂、松野治雄、山浦 晶、吉本智信、山本勇夫 | ||
氏名 | 所属 | |
顧問 | 小林茂昭 | 相澤病院 脳卒中・脳神経センター 名誉センター長(信州大学名誉教授) |
顧問 | 中川 洋 | 釧路孝仁会記念病院脊髄脊椎センター センター長(愛知医科大学名誉教授) |
顧問 | 藤井清孝 | 福岡徳洲会病院 脳神経外科(北里大学名誉教授) |
顧問 | 上山博康 | 社会医療法人禎心会脳疾患研究所 所長 |
顧問 | 高安正和 | 稲沢市民病院脳神経外科 顧問(愛知医科大学名誉教授) |
顧問 | 本郷一博 | 伊那中央病院 病院長(信州大学名誉教授) |
顧問 | 大畑建治 | 大阪公立大学医学部脳神経外科 特任教授(大阪公立大学名誉教授) |
顧問 | 齋藤 清 | 労働者健康安全機構 福島労災病院 病院長(福島県立医科大学名誉教授) |
顧問 | 田中雄一郎 | 聖マリアンナ医科大学脳神経外科 客員教授 |
顧問 | 田宮 隆 | 香川県厚生農業協同組合連合会 代表理事理事長(香川大学名誉教授) |
顧問 | 塩川芳昭 | 富士脳障害研究所付属病院 院長(杏林大学名誉教授) |
顧問 | 藤井幸彦 | 新潟県済生会支部特別顧問(新潟大学名誉教授) |
顧問 | 水野順一 | 新百合ヶ丘総合病院低侵襲脊髄手術センター 上級顧問 |
世話人代表顧問 | 松島俊夫 | 古賀病院21 脳神経外科(佐賀大学名誉教授) |
世話人代表顧問 | 井上 亨 | 白十字病院 脳卒中センター センター長(福岡大学名誉教授) |
世話人代表 | 安部 洋 | 福岡大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 内門久明 | うちかど脳神経外科クリニック 院長 |
世話人 | 岡 秀宏 | 北里大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 柿澤幸成 | 小林脳神経外科病院 部長 |
世話人 | 勝田俊郎 | 済生会唐津病院脳神経外科 部長 |
世話人 | 鎌田恭輔 | 医療法人 北晨会恵み野病院 副院長 |
世話人 | 河島雅到 | 薬院河島脳神経外科クリニック 院長 |
世話人 | 木内博之 | 山梨大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 國枝武治 | 愛媛大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 黒﨑雅道 | 鳥取大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 河野道宏 | 東京医科大学脳神経外科 教授 |
世話人 | 後藤剛夫 | 大阪公立大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 坂田勝巳 | 横浜市立大市民総合医療センター脳神経外科 部長 |
世話人 | 田中美千裕 | 医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 脳神経外科/脳血管内治療科 主任部長 |
世話人 | 谷川緑野 | 札幌禎心会病院 院長代行・脳卒中センターセンター長 |
世話人 | 戸田正博 | 慶應義塾大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 中尾直之 | 和歌山県立医科大学脳神経外科 教授 |
世話人 | 中冨浩文 | 杏林大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 名取良弘 | 株式会社麻生 飯塚病院 特任副院長・脳神経外科 部長 |
世話人 | 長谷川光広 | 東京Dタワーホスピタル 院長 |
世話人 | 一ツ松 勤 | 新古賀病院脳卒中脳神経センター センター長 |
世話人 | 藤井正純 | 福島県立医科大学脳神経外科 教授 |
世話人 | 堀内哲吉 | 信州大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 堀口健太郎 | 千葉大学医学部脳神経外科 講師 |
世話人 | 三國信啓 | 札幌医科大学脳神経外科 教授 |
世話人 | 吉本幸司 | 九州大学医学部脳神経外科 教授 |
世話人 | 鰐渕昌彦 | 大阪医科薬科大学脳神経外科 教授 |
日本微小脳神経外科解剖研究会会則
平成28年4月26日改訂
第1章 総則
1. 本会は日本微小脳神経外科解剖研究会(RHOTON SOCIETY)と称する。
(英語表記: Japanese Society for Microneurosurgical Anatomy)
2. 本会の事務局を福岡大学医学部脳神経外科教室(福岡市城南区七隈7-45-1)におく。
第2章 目的及び事業
1. 本会は脳神経外科疾患の診断、治療に重要な外科解剖の研究の進歩を促進し、その知識を普及させることを目的とする。
2. 本会は前条の目的を達成するために次の事業を行なう。
① 毎年1回の定期学術集会を開催する。
② 定期学術集会とは別に日本脳神経外科コングレスと一緒に「微小脳神経外科解剖」セッションとして開催する。
③ その他本会の目的を達成するために必要な事柄を行う。
第3章 会員
1. 会員は本会の目的に賛同する者をもって構成する。
2. 会員から年会費を徴収する。
3. 一般演題の発表は会員に限る。
第4章 役員
1. 役員として代表世話人(1名)、事務局幹事(1名)、若干名の世話人と顧問を置く。
年度毎の役員として会長(原則としてその年度のコングレス終了時から次年度のコングレスまで)を置く。
2. 代表世話人は世話人会において互選で選出され、任期は3年とし再任は妨げない。
3. 世話人には、過去のセミナー開催に尽力したものをあて、適宜世話人会で決定する。
世話人は年次会長を選出し、会長のプログラム作成に助言や協力を行う。
4. 新世話人は世話人2名で推薦でき、適時世話人会で決定する。
5. 顧問は、65歳以上の世話人自らの申し出か、もしくは世話人会からの推薦がある場合に、その役に就くことができる。
顧問は世話人会にオブザーバーとして参加できる。
6. 顧問が世話人を辞退した場合は名誉顧問とする。
7. 会長は本会則第2章の事業を行なう。
8. 事務局幹事は、事務局に所属する(もしくは関連した施設に所属する)。
世話人が担当し、世話人会において選出され、事務上の運営にあたる。
細則
1. 事務局は年次会長にセミナー開催のための補助金を給する。補助金の上限は原則50万円とする。
それを超える補助金については、其の都度話し合いを行う。
2. 年会費は5000円とする。
3. 定期学術集会の参加費は会員8000円、非会員の参加費は会長一任とする。
4. 本会には共催者を置くことができる。
5. 会長は定期学術集会の開催日時、場所、演者の案を世話人会で提案し了承を得る。
6. 会長は定期学術集会の座長を原則本会世話人から選出する。
附則
1. 本会則は 平成25年10月17日より実施する。
2. 世話人会は会則の変更・追加をすることができる。